FAQ
ArcGIS Engine Runtime のサイレント インストール

ナレッジ番号:5263 | 登録日:2023/07/26 | 更新日:2024/07/02

内容


インストール要件

Windows インストーラのコマンド ライン パラメータを使ってセットアップを実行すると、ArcGIS Engine Runtime を GUI なしでインストールすることができます。そのための要件は次のとおりです。

  • Windows インストーラー バージョン 3.1 がインストールされており、対象マシン上で実行されて ArcGIS Engine Runtime セットアップが自動実行(サイレント インストール)される。
  • 対象マシンの Windows インストーラ のアップデートが必要であれば、Windows インストーラ 3.1 インストレーション (instmsi3.exe) が ArcGIS Engine Runtime インストレーション DVD 上で実行できる。
  • サイレントインストールを開始する前に、ArcGIS ソフトウェアのすべての以前のバージョンがアンインストールされている。

ArcGIS Engine Runtime のコマンド ライン パラメーター

以下の テーブルは ArcGIS Engine Runtime の Microsoft ソフトウェア インストーラー(MSI)を直接コマンドライン、またはスクリプトから実行する際に使用されるパラメータを示しています。(Windows インストーラ [MSIEXEC] のコマンドライン オプションでこれらのパラメータを使用します。)

 パラメータ  必須 説明
 INSTALLDIR No  ArcGIS Engine Runtime のインストール場所。もしこのパラメータが指定されなければ、インストールの場所は %System Drive%\Program Files\ArcGIS\Engine10.0 で示される場所。
 INSTALLDIR1  No Python のインストール場所。もしこのパラメータが必須で、この値が指定されていない場合、既定の位置は C:\Python26。
 ENGINE_CONFIG  No 既定の値は FALSE。この値を TRUE にすると ArcGIS 管理者ウィザード(ArcGIS Admin wizard)がインストールの後で現れません。
 SEAT_PREFERENCE_ENGINE  No Fixed (ArcGIS Engine 単独使用モード)または Float (ArcGIS Engine 同時使用モード)。

ArcGIS Engine Runtime の完全(typical)インストールの自動実行

以下のコマンドをコマンドライン、またはスクリプトから実行し、ArcGIS Engine Runtime を完全インストールします。

msiexec /I <セットアップの場所>\setup.msi /qb
  • /qb は進行状態とエラーハンドリングの基本的な UI を提供します。
  • /qn は UI を提供しません。

詳細については、Microsoft デベロッパー ネットワーク(MSDN)Web サイトのトピックのコマンドライン オプションをご覧ください。

コマンドライン パラメータの追加

前に述べたように、既定の場所にインストールしたくない場合、INSTALLDIR=<インストール ディレクトリ> と INSTALLDIR1=<インストール ディレクトリ> を指定することができます。
以下のコマンドラインを見てください。

msiexec /I <セットアップの場所>\setup.msi INSTALLDIR=C:\EngineRT INSTALLDIR1=C:\Python /qb

管理者インストールの場合は、/I ではなく /a コマンド ライン パラメータを使用します。管理者インストールの自動実行を指定する場合のコマンド ライン パラメータは、INSTALLDIR ではなく TARGETDIR です。 管理者インストールでは、ターゲット ディレクトリでファイルの圧縮を解除し、他のコンピュータからこの場所にアクセスして、これらのファイルをインストールできるようにします。管理者インストールからのクライアント インストールはこのトピックで与えられているのと同じパラメータ使用してインストールできます。

ArcGIS Engine Runtime のカスタム インストールの自動実行

コマンドラインまたはスクリプトを使用して、ArcGIS Engine Runtime のカスタム インストールを実行する時、ADDLOCAL 引数を与えることで 選択した ArcGIS Engine Runtime のフィーチャをインストールすることができます。

  • msiexec /I <セットアップの場所>\setup.msi /qb ADDLOCAL=<フィーチャ1>,<フィーチャ2>, …

以下のフィーチャが有効です。

  • ArcEngine
  • DotNetSupport
  • JavaRuntime
  • Python

たとえば、ArcGIS Engine Runtime を .NET サポートと共にインストールするには、以下のコマンドを実行します。

msiexec /I <セットアップの場所>\setup.msi /qb ADDLOCAL=ArcEngine, DotNetSupport

使用方法に関連する以下についてご覧ください。

  • すべての依存および関連するファイルも、指定したフィーチャとともにインストールされます。
    例外として、.NET フィーチャ と一緒に.NET Framework はインストールされません。
  • フィーチャ名の大文字と小文字は区別されます。

Data Interop エクステンションは、ArcGIS Engine Runtime と共にインストールされません。もし必要であればこのエクステンションは別にインストールする必要があります。

ArcGIS Engine Runtime のメニューのショートカット

既定では、ArcGIS Engine Runtime 10 またはそれ以降の完全インストールは ArcGIS のメニュー上にショートカットを作成します。(スタート → すべてのプログラム → ArcGIS → ArcGIS Administrator または スタート → プログラム → ArcGIS → ArcGIS Administratoror)。
Image

次のコマンド ライン パラメータを使用して、ArcGIS のメニューにショートカットを表示するかどうかを制御できます。

  • SHORTCUTS = YES ―ショートカットをインストールします。
  • SHORTCUTS = NO  ―ショートカットをインストールしません。
以下のコマンドラインで、ArcGIS Engine Runtime は ショートカットなしで自動的にインストールされます。

msiexec /I <セットアップ場所>\setup.msi /qb SHORTCUTS=NO

ArcGIS Engine Runtime のサービス パックのインストール

もし開発したアプリケーションが ArcGIS Engine サービス パックも要求している場合、 ユーザに ESRI Support Center ウェブサイト(注:日本語版はESRI Japanサポートサイト) からサービス パックのダウンロードをするように指示したり、開発者が提供する ArcGIS Engine Runtime のメディアでサービスパック(.msp ファイル)を提供することができます。要求されている ArcGIS Engine Runtime 10 サービス パックが対象のマシンにインストール されているか確かめるために、パッチファインダー(PatchFinder.exe)を使用したり、 以下のレジストリハイブの下の SPNumber レジストリキーを調べます。

  • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ESRI\Engine10.0
SPNumber の値は、インストールされているサービスパック番号を反映しています。サービスパックを以下のコマンドラインを使用してインストールします。

msiexec.exe /p <mspの場所>\ArcGIS<製品>.msp REINSTALL=ALL /qb

ArcGIS Engine Runtime のサービス パックの自動アンインストール


製品を自動でアンインストールするには、以下の Windows インストーラ コマンドを使用します。

  • msiexec /x <{product code}> /qb
たとえば、ArcGIS Engine Runtime 10 を自動的にアンインストールするには、以下のコマンドラインを利用します。

msiexec.exe /x {4384DA75-4135-4B0F-8B56-37BB281CAAE8} /qb

ArcGIS 製品は、先のWindows インストーラ のアンインストールコマンドを使用していずれも自動的にアンインストールできます。製品コードの一覧は、ESRI Support Center の knowledge base の記事(#28709) Howto:Silently uninstall ArcGIS products をご覧ください。

ArcGIS Engine Runtime の単独使用の自動認証

ArcGIS Engineの自動認証は、プロビジョニング ファイル (*.prvc) と SoftwareAuthorization.exe を使用して行うことができます。以下に説明します。

  • Customer Care Webサイトを通じて、またはプロビジョニングファイルの作成のセクション
    で説明されているステップを通じて作成することができます。
  • サイレント インストールのコマンドライン引数に以下のパラメータを含めます。
    ENGINE_CONFIG=TRUE(ArcGIS Software Authorization ウィザードが表示されなくなります。)と SEAT_PREFERENCE_ENGINE パラメータ。このパラメータは、登録するのが同時使用か単独使用かによってそれぞれ Float または Fixed に設定します。
  • C:\Program Files\Common Files\ArcGIS\bin にある、SoftwareAuthorization.exe アプリケーションを実行します。そこにある file.prvc がプロビジョニングファイルで /s を付けると処理が自動で行われます。

以下のコマンドラインを見てください。

SoftwareAuthorization.exe /LIF file.prvc /s

認証のプロセスはオンラインで行われ、ネットワ-クのスピードやハードウエア構成、認証されている製品の数に依りますが、30 秒から 2 分程度かかります。

  • ArcGIS Engine の自動認証はオンラインでのみ行うことができます。
    (ユーザはインターネットに接続している必要があります)。オフラインでの認証は、エンドユーザは ArcGIS Administrator を使用する必要があります。
  • 同時使用ライセンスの使用とライセンス マネージャの定義は、ArcGIS Engine Runtime のインストールの間に選択される必要があります。しかし、最初のセットアップの後で ArcGIS Engine がプロビジョニング ファイルで単独使用ライセンスで自動認証されると、Software Authorization ウィザードはシートタイプを単独使用に切り替えます。SoftwareAuthorization.exe アプリケーションは 単独使用から同時使用 ウィザード切り替えることはできません。そのため、エンドユーザは ArcGIS Administrator を通じて介して行う必要があります。
  • 認証解除の自動実行はサポートされていません。そのため、エンドユーザは ArcGIS Administrator を起動して、"認証解除"をクリックする必要があります

実行中にエラーが発生した場合は exe アプリケーション は -1 を返し、成功した場合は 0 を返します。以下のコード例は .bat スクリプト ファイル の中のエラーコードの使用方法を示しています。

"C:\Program Files\Common Files\ArcGIS\bin\SoftwareAuthorization.exe" /LIF file.prvc /S
if %ERRORLEVEL%==0 (
    echo Success
)   else if %ERRORLEVEL%==-1 (
           echo Failure
)

プロビジョニング ファイルの作成

以下の方法で、単独使用 Engine Runtime のためのプロビジョニング ファイル を作成します。
メモ帳のようなテキストエディタを開き、認証する必要のあるフィーチャに基づいて以下の情報をタイプします。以下のコード例は、 ArcGIS Engine Runtime 単独使用を導入するプロビジョニング ファイルの作成方法を示しています。

  1. 以下の必須情報を追加します。
  • First Name=
  • Last Name=
  • Organization=
  • Department=
  • Email=
  • Address 1=
  • City=
  • State/Province=
  • Country=
  • Zip/Postal Code=
  • Phone Number=
  1. オプションで以下のユーザ情報を追加します。
  • Your Organization=
  • Your Industry=
  • Yourself=
  1. インストールしようとしているフィーチャのオーソライゼーション番号を追加します。
  • ArcGIS Engine Runtime=
  • Geodatabase Engine=
  • 3D Analyst Engine=
  • Spatial Analyst Engine=
  • Network Analyst Engine=
  • Data Interoperability Engine=
  • Maplex Engine=
  • Schematics Engine=
  • Tracking Analyst Engine=
  1. *.prvc ファイルとして保存します。

以下の コマンドラインは、Geodatabase Update Extension と 3D Analyst Extension と共にArcGIS Engine Runtime 単独使用を登録するプロビジョニング ファイルです。

First Name=John
Last Name=Doe
Organization=My Company
Department=My Department
Email= jdoe@mycompany.com
Address 1=1234 Street St.
City=My City
State/Province=CA
Country=USA
Zip/Postal Code=92373
Phone Number=555-555-555

Your Organization=Commercial/Private Business
Your Industry=Other
Yourself=Other

GIS Engine Runtime=ESU*********
Geodatabase Engine=ESU*********
3D Analyst Engine=ESU*********

以下は、ArcGIS Engine 同時使用 のためのプロビジョニング ファイルの作成方法を示しています。メモ帳のようなテキストエディタを開き、必要なフィーチャに基づいて以下の情報をタイプします。

  1. ライセンス マネージャ情報をタイプします。
  • Actserver=
  1. インストールしようとしているフィーチャのオーソライゼーション番号をタイプします。
  • ArcGIS Engine Runtime=
  • Geodatabase Engine=
  • 3D Analyst Engine=
  • Spatial Analyst Engine=
  • Network Analyst Engine=
  • Data Interoperability Engine=
  • Maplex Engine=
  • Schematics Engine
  • Tracking Analyst Engine=
  1. *.prvc ファイルとして保存します。

まとめ(シナリオ)

ある組織が ArcGIS Engine Runtime と Spatial Analyst 単独使用 ライセンスを 20 ライセンス購入し、その組織内に導入するカスタムアプリケーションを開発しました。組織が認証番号を ESRI カスタマー サービスから受け取り、アプリケーションのための独自のインストールプログラムを開発しました。組織のクライアントマシンはインターネットに接続済みです。

以下に例を示します。導入および ArcGIS Engine Runtime、Spatial Analyst エクステンションの認証を 自動的に行うには以下のようにします。

  1. 前のステップを行ってプロビジョニング ファイルを作成し、ネットワークの場所でこのプロビジョニング ファイルを共有します。
  2. ArcGIS Engine Runtime をサイレント インストールするバッチ ファイルを指定のディレクトリに作成し、SoftwareAuthorization ウィザードを自動で実行します。そしてカスタムアプリケーションのインストールを実行します。スクリプトは以下に類似したものになります。
rem //Launch the engine msi silently
msiexec /I \\Network\ArcEngine10\setup.msi ENGINE_CONFIG=True SEAT_PREFERENCE_ENGINE=Fixed INSTALLDIR=C:\EngineRT INSTALLDIR1=C:\Python /qn

rem //Launch the software authorization silently.
Start C:\"Program Files"\"Common Files"\ArcGIS\Bin\SoftwareAuthorization.exe /LIF "\\Network\PRVC\engine.prvc" /S

rem //Launch the custom application installer.
msiexec /I \\Network\CustomApp\CustomApp.msi
  1. バッチスクリプトがクライアントマシン上で走り、 ArcGIS Engine Runtime をサイレント インストールします。
  2. 組織が Engine(Runtime)を認証解除するために ArcGIS Desktop Administrator を使用することなく、アプリケーションの 21 番目のコピーをインストールし、認証しようとした場合、認証は失敗します。

参照:

導入の概要

アプリケーションの開発とライセンスの初期化

ライセンスとコピープロテクションに関する質問と回答

ArcGIS Desktop ライセンスを使用した ArcGIS Engine アプリケーションの実行


追加要件

  • ArcGIS Engine Runtime DVD

この文書は、ArcObjects Help for .NET Developers 内のトピック  Installing_ArcGIS_Engine_Runtime_silently を元に翻訳したものです。

メタデータ

種類

製品