FAQ ArcGIS Pro: ArcGISで水文解析を行う方法 (Spatial Analyst)

ナレッジ番号:3206 | 登録日:2023/05/29 | 更新日:2024/05/14

概要

ArcGISでは、標高値を持つラスターデータ(DEM)を利用して水文解析を行い、流向、累積流量、河川網、水系(流域界)を算出できます。
※Spatial Analyst エクステンション製品が必要です。

前提条件

標高値を持つデータ(DEM)は、投影座標系(メートル単位)である必要があります。データが地理座標系(緯度経度単位)である場合は、あらかじめ投影座標系に投影変換してください。ラスターの投影変換は、[ジオプロセシング] ウィンドウ → [ツールボックス] → [データ管理 ツール] → [投影変換と座標変換] → [ラスター] → [ラスターの投影変換 (Project Raster)] ツールを使用して行います。

ArcGIS バージョン 10.5 より地理座標系(緯度経度単位)の DEM であっても、メートル単位の鉛直座標系を定義することで、水文解析ができるようになりました。

標高値を持つデータ:(例)長野県 松本市 安曇地区(島々) 付近

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フローチャート

ArcGIS で水文解析を行うには以下のフローチャートで行います。

フローチャート図

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手順

  1. 標高値を持つラスターデータの凹地(窪地)の除去処理を行います。
    [解析] タブの [ジオプロセシング] グループで、[ツール] をクリックします。
    ・[ジオプロセシング] ウィンドウ → [ツールボックス] → [Spatial Analyst ツール] → [水文解析] → [サーフェスの平滑化 (Fill)] ツール
    ※[入力サーフェス ラスター ] に 標高値を持つラスターデータ を設定します。

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  2. 流向を算出します。(各ピクセルの値より傾斜方向を計算します。)
    ・[ジオプロセシング] ウィンドウ → [ツールボックス] → [Spatial Analyst ツール] → [水文解析] → [流向ラスターの作成 (Flow Direction)] ツール
    ※[入力サーフェス ラスター] に 凹地の除去処理をした標高値を持つラスターデータを設定します。

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    (算出された結果のピクセル値はそれぞれの方位を意味します。)
    1 東 、2 南東 、4 南 、8 南西 、16 西 、32 北西 、64 北 、128 北東
  3. 累積流量を算出します。(流向ラスターの下り勾配にあたる全ピクセル値より累積流量を計算します。)
    ・[ジオプロセシング] ウィンドウ → [ツールボックス] → [Spatial Analyst ツール] → [水文解析] → [累積流量ラスターの作成 (Flow Accumulation)] ツール
    ※[入力流向ラスター] に 流向のラスターデータ を設定します。

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  4. 河川網を作成します。
    ・[ジオプロセシング] ウィンドウ → [ツールボックス] → [Spatial Analyst ツール] → [水文解析] → [河川次数ラスターの作成 (Stream Order)] ツール
    ※[入力河川ラスター] に 累積流量のラスターデータ(◎) を、[入力流向ラスター] に 流向のラスターデータ を設定します。
    ◎[Con] ツールにて、累積流量のラスターデータのある閾値以上のピクセル値を抽出してから、本手順を行う方法もあります。

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    (河川が合流するにつれて次数の値が大きくなります。)

    (参考)河川網ラスターをフィーチャに変換できます。
    ・[ジオプロセシング] ウィンドウ → [ツールボックス] → [Spatial Analyst ツール] → [水文解析] → [河川ラスターをフィーチャに変換 (Stream to Feature)] ツール
    ※[入力河川ラスター] に 河川次数ラスターデータ を、[入力流向ラスター] に 流向のラスターデータ を設定します。
  5. 水系(流域界)を算出します。
    ・[ジオプロセシング] ウィンドウ → [ツールボックス] → [Spatial Analyst ツール] → [水文解析] → [流域ラスターの作成 (Basin)] ツール
    ※[入力流向ラスター] に 流向のラスターデータ を設定します。
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  6. ある地点から上流域の水系(流域界)を算出します。
    ・[ジオプロセシング] ウィンドウ → [ツールボックス] → [Spatial Analyst ツール] → [水文解析] → [集水域ラスターの作成 (Watershed)] ツール
    ※[入力流向ラスター] に 流向のラスターデータ を設定します。
     [流出点データとして使用する入力ラスター、またはフィーチャ] にポイントデータなどを設定します。
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  7. 流路距離を算出します。
    ・[ジオプロセシング] ウィンドウ → [ツールボックス] → [Spatial Analyst] ツール → [水文解析] → [流路距離ラスターの作成 (Flow Distance)] ツール
    ※[入力河川ラスター] に累積流量ラスターデータを、[入力サーフェス ラスター] に凹地の除去処理をしたラスターデータを設定します。
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参考情報

水文解析の詳細につきましては米国 Esri 社が公開している ヘルプ をご参照ください。

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