FAQ
ジオプロセシングを実行する際のチェック項目

ナレッジ番号:2915 | 登録日:2023/05/29 | 更新日:2023/06/21

概要

ArcToolbox を使用して解析処理(ジオプロセシング処理)を行う際に、事前に確認しておくべき項目として以下の3点について説明します。以下の設定を確認しておくことで不要なエラーや設定を回避することが可能となります。


ログイン ユーザー名について

ログイン ユーザー名が半角英数字で構成されておらず、日本語等が含まれていると、エラーにつながることがあります。可能であれば半角英数字で構成されるログイン ユーザー名を作成し、そのアカウントで処理を行ってください。

詳細については、こちらのFAQ でご確認ください。

解析処理に使用するデータの座標系の統一

原則として、お使いになるデータとデータフレームの座標系は同じであることが望ましいです。

ArcToolbox のツールで解析処理を実行する場合には、解析に使用するデータに定義されている座標系および投影法を同じものが定義されているようにします。またデータフレームについても、データと同じ座標系と投影法が定義されているようにします。もしお使いのデータ同士において座標系や投影法が異なっているとエラーが発生したり、解析が正しく処理されないことがあります。

ArcMapに追加したデータの座標系を確認します。
1.コンテンツウィンドウの各データレイヤ名を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
2.表示されたプロパティの[ソース] タブをクリックします。 ダイアログをスクロールして座標系の情報を確認します。  
Image 

上記の図において2つのデータは異なる座標系が定義されています。
もしこの2つのデータを使用して解析のツールを実行する場合には、事前に2つのデータに定義されている座標系を共通のものにしておく必要があります。

念のため各座標系で使用されている単位、名称についても共通のものが使用されているかを確認します。上記の例では単位と共にメートルとなっています。

もし使用するデータの座標系が未定義となっている場合には、データに座標系を定義してからツールを実行する必要があります。データに座標系を定義するには、そのデータが作成された座標系が何であるかを把握しておく必要があります。もしデータが作成された座標系が不明な場合には、データの提供元に確認するなどしてデータが作成された座標系を特定します。データの座標系が特定できたら、ArcToolbox → [データ管理ツール] → [投影変換と座標変換] → [投影法の定義] ツールを使用して、データに座標系を定義します。
詳細な設定方法は以下のリンクをご確認ください。

シェープファイルに座標系情報を定義するには?
ラスタ データの座標系を定義するには

※注意 データに座標系を定義する際には、必ずそのデータが作成された座標系を定義する必要があります。データが作成された座標系ではなく、表示させたい座標系を定義すると正しくない場所にデータが表示される原因となりますので、ご注意ください。

解析に使用する際に使用する座標系について

  • 解析を行う場合には、一部の特例を除き投影座標系(単位にはメートル)を使用します。
  • もし解析に使うデータの大半が特定の投影座標系の場合には、その座標系を使用し、異なる座標系を持つデータの座標系を変換して座標系を揃えます。

異なる座標系を任意の座標系に変換するには

解析を行う際に使用する一部のデータの座標系が他のデータの座標系と異なる場合には、座標系の変換を行って、座標系を合わせます。いくつかの方法がありますが、決して [投影法の定義] ツールを使用しないでください。[投影法の定義] ツールはあくまでデータが作成された座標系(および投影法)を定義するためのツールであり、座標系の変換を行うツールとはなりません。

座標系を変換する方法

ArcToolbox → [データ管理ツール] → [投影変換と座標変換] 以下にある [投影変換] ツールを使用します。
Image

[投影変換] ツールには2種類のツールがあり、ベクタ データの変換には、[投影変換] ツール、[ラスタ データ] 以下にある[ラスタの投影変換] ツールはラスタ データの変換に使用します。
※ArcGIS 10.2.1 以前のバージョンをお使いの場合には、ベクタデータの投影変換ツールは[投影変換と座標変換] → 、[フィーチャ] 以下にある[投影変換] ツールとなります。 

なおデータ内の特定のフィーチャや特定の範囲のラスタだけを解析に使用するということであれば、その部分のみを切り出して座標系を変換するということも可能です。 この場合の手順につきましては、以下のリンクをご参考ください。

ラスタ データをポリゴンの範囲で切り出すには?
データ作成のヒント ベクタ データの特定の範囲を切り出す方法

ファイル名およびフォルダ名について

処理を行うファイル名については、以下の点について確認します。

  • ベクタ データの場合:ファイル名が数字で始まっていないこと。特殊文字(アンダーバー以外の!や「」など)を使用していないこと。
  • ラスタ データの場合:ファイル名およびファイルが格納されているフォルダ名などのパスに2バイト文字(日本語)および特殊文字(アンダーバー以外の!や「」など)を使用していないこと。

ジオプロセシング ツールの環境設定について

解析処理を行う多くのツールと全てのラスタ データの解析処理を行う際には、処理を制御するための環境設定を行なうことが望ましいです。環境設定には、以下の4つのレベルがあります。

  • アプリケーション レベルの設定: デフォルトで、任意のツール(対象となる全てのツール)の実行時に適用されます。
  • ツール レベルの設定: ツールの 1 回の実行に適用され、アプリケーションレベルの設定を無効にします。
  • モデル レベルの設定: モデルと共に指定および保存され、ツールレベルとアプリケーションレベルの設定を無効にします。
  • モデル プロセス レベルの設定: モデル プロセス レベル(モデル内の各ツール毎)で指定され、モデルと共に保存されます。これは、モデル レベルの設定を無効にします。

なお環境設定によって指定した値が、すべてのツールに適用されるわけではなく、ツールによって適用できる環境設定が異なります。各ツールで適用可能な環境設定は、各ツールのヘルプの [ 環境 ] の項目にて確認します。

アプリケーション レベルでの環境設定は、ArcMapの[ジオプロセシング] → [環境] をクリックし、[環境設定] ボックスにて行います。アプリケーション レベルで環境設定を行いますと、その設定が常に使用されるようになりますので、特定のエリアでの解析等を重点的に行う場合などには、便利な設定となります。 

Image 

ツール レベルでの環境設定は、各ツールを起動したダイアログ下部の[環境]をクリックし、[環境設定]ボックスにて行います。ツール レベルでの環境設定は、利用するデータや範囲が毎回異なるような解析を行う場合に、使用します。
Image

モデル レベルでの環境設定は、 [ModelBuilder] メニューで、 [モデル] [モデル プロパティ] の順にクリックし、[環境] タブにて行います。モデル レベルでの環境設定は、お使いのモデル内でのみ設定されたい場合に使用します。
Image

モデル プロセス レベルの環境設定は、 ModelBuilder でツール エレメント(対象のツール)を右クリックして、 [プロパティ] をクリックし、 [プロパティ] ダイアログ ボックスの [環境] タブにて行います。モデル プロセス レベル での環境設定は、お使いのモデルの特定のツールのみ設定されたい場合に使用します。
Image

  1. 設定すべき重点項目

    • [ワークスペース] : (処理に使うデータの格納先)
    • [処理範囲]:(解析を行う際の最大となる範囲 例えば東京都など)
    • [マスク(オプション設定)]: 例 もしマスクとする範囲が東京都の境界線のレイヤとなる場合、内部では東京都の境界線を覆う最少のポリゴンが範囲として指定されます。このため東京都の境界線を超える範囲にあるラスタデータの値はNoDataの扱いとなり、解析には使用されなくなります。
    • [出力座標]: もし解析に使うすべてのデータが同じ座標系の場合には、座標系部分の設定には、[入力データに一致]のままにしておきます。
    • [セルサイズ]: ラスタ データを伴う解析の場合のみに指定します。使用するラスタ データのセル サイズは一致することが望ましいです。

環境の設定方法

  1. [ワークスペース] の設定
    1. [現在のワークスペース] を指定する際には、解析に使うデータが格納されているフォルダを指定します(ファイルではなく、フォルダを指定します)
    2. [テンポラリ ワークスペース] に指定するのは、ローカル ディスクまたは外部ハードディスクの書き込み権限のあるtemp フォルダとします。もし書き込みの権限のあるtemp フォルダが存在していない場合には、ローカル ディスクの任意の箇所にtemp フォルダを作成します。
  2. [出力データの座標系] : 任意の座標系を指定します
  3. [処理範囲] → [範囲] : こちらについては、処理の対象となる範囲において最大の範囲を指定する必要があります。該当の範囲を持つ既存のデータか、新規で該当の範囲をカバーするデータを作成し、指定します。特にラスタの解析においては、この設定が重要になります。ラスタの解析を行う場合には、常に同じ範囲で処理を行う必要があります。なお処理範囲は常に長方形となります。
    1. ラスタの解析を行う場合には、[スナップ対象ラスタ] を設定することをお勧めします。[環境設定]ボックスの[処理範囲] 以下にある[スナップ対象ラスタ] に既存のラスタ データを指定することで、出力されるラスタ データは指定したラスタ データと同じ範囲を持ち、またセルの配置も重なる同じセル サイズをラスタ データとなります。もし処理範囲を事前に指定した場合には、この設定を行えないことがあります。
  4. [ラスタ解析] の設定
    1. [セル サイズ]:解析に使用するデータのセル サイズは全て同じにする必要があります。事前にセル サイズについて検討してください。
    2. [マスク] : 解析の範囲をポリゴン等で定義されている範囲に限定したい場合には、マスクとして該当の範囲を持つポリゴンを指定します。マスクの外の範囲のラスタ データは解析には使用されません。また不規則な形をしたポリゴンを指定された場合には、ポリゴンの範囲(長方形)ではなく、実際のポリゴンの枠線を反映した範囲が指定されます。

メタデータ

種類

製品

バージョン