FAQ
ArcGIS Enterprise コンポーネントの再起動順序について

ナレッジ番号:3469 | 登録日:2023/05/29 | 更新日:2024/11/21

概要

高い可用性の求められるシステムにおいては、ArcGIS Enterprise の配置も高可用性を念頭におき、プライマリとセカンダリのサーバー配置といった構成をとることがあります。
一方で、システムのセキュリティを保ち適正な環境を運用し続けるには、最新のパッチを適用したり、時には製品のバージョンアップを行うことで各コンピューターのオペレーティング システムおよび ArcGIS Enterprise ソフトウェアを最新の状態に保つことが重要です。
本 FAQ では、高可用性のために冗長構成となっているシステムにおける、メンテナンス時などに行う再起動についての補足を説明します。

説明

ArcGIS Server

ArcGIS Enterprise で複数台の ArcGIS Server を配置する場合は、各サーバーが等しい機能を持つためにプライマリ / セカンダリといった役割分担はありません。
各 ArcGIS Server は、サーバー ディレクトリ (デフォルトでは C:\arcgisserver、複数台構成をとる場合は、各サーバーから参照可能な場所を指定します) への参照が失われない限り、ArcGIS Server としての機能は損なわれません。
そのため、複数台構成となっている ArcGIS Server については、サーバーの再起動において順序を考慮する必要はありません。

Portal for ArcGIS

高可用性のために 2 台の Portal for ArcGIS を配置している場合、プライマリとなっているサーバーの停止時、それまでセカンダリであったサーバーをプライマリとするためにフェイルオーバーが発生します。
Portal for ArcGIS 全体としての稼働を停止させずにメンテナンスを行う場合は、2 台のサーバーどちらを先に再起動したとしても、必ずフェイルオーバーが発生します。しかし、すべてのサーバーを停止させる必要が生じた場合には、停止と起動と順序に気を配ることで不要なフェイルオーバーの発生を抑制できます。

  1. セカンダリのサーバーを停止
  2. プライマリのサーバーを停止
  3. プライマリのサーバーを起動
  4. セカンダリのサーバーを起動

Portal for ArcGIS 10.7.1 以前のバージョンにおいては、フェイルオーバー イベント後にライセンス情報が更新されない問題がありました。この不具合は Portal for ArcGIS 10.8 にて修正されています。また、10.6.1、10.7.1 向けのパッチが公開されています。
Portal for ArcGIS High Availability and Disaster Recovery Quality Patch

ArcGIS Data Store

ArcGIS Data Store では、プライマリのサーバーを手動でシャットダウンさせた場合、フェイルオーバーは発生しません。プライマリとセカンダリで構成されている ArcGIS Data Store の再起動を行う場合は、必ず事前に ArcGIS Data Storeの makePrimary REST コマンドを実行し、プライマリ機をスタンバイ (セカンダリ) に変更してから再起動します。

ArcGIS Data Store において、フェイル オーバーするのはハードウェアまたはソフトウェアの障害が発生した場合です。
詳細についてはこちらを参考ください。

makePrimary の手順は以下の通りです:

  1. 現在プライマリとなっている ArcGIS Data Store を構成しているサーバーで makePrimary を実行し、スタンバイ (セカンダリ) に変更します。
    makePrimary コマンドを使用して、スタンバイをプライマリにする方法は以下の通りです。
    1. ArcGIS Server Administrator Directory (https://FQDN:6443/arcgis/admin) に ArcGIS Server のプライマリ サイト管理者アカウントでログインします。
    2. [data] - [items] - [enterpriseDatabases] とリンクをクリックします。
    3. [Child Items] に現在 ArcGIS Server に登録されているデータ ストアが表示されております。
    4. この内、スタンバイとして稼働している ArcGIS Data Store のリンクをクリックします。
      ※ 「AGSDataStore」から始まるリンクが ArcGIS Data Store に関するものです。
    5. [machines] - [<サーバー名>] - [makePrimary] とリンクをクリックし表示されるページで、makePrimary の処理を実行してください。
  2. 1. の手順でスタンバイとしたサーバーを再起動します。
  3. 2. で再起動したサーバーの ArcGIS Data Store に対して再度 1. の手順を実行し、プライマリ機を元の状態に戻します。
  4. スタンバイとなったセカンダリ機を再起動します。

参考情報

メタデータ

種類

製品

バージョン