FAQ
ArcGISで水文解析を行う方法 (Spatial Analyst)
ナレッジ番号:3035 | 登録日:2023/05/29 | 更新日:2024/11/21
概要
ArcGISでは、標高値を持つラスターデータ(DEM)を利用して水文解析を行い、流向、累積流量、河川網、水系(流域界)を算出できます。
※Spatial Analyst エクステンション製品が必要です。前提条件
標高値を持つデータ(DEM)は、投影座標系(メートル単位)である必要があります。データが地理座標系(緯度経度単位)である場合は、あらかじめ投影座標系に投影変換してください。ラスターの投影変換は ArcToolbox → [データ管理 ツール] → [投影変換と座標変換] → [ラスター] → [ラスターの投影変換 (Project Raster)] ツールを使用して行います。
ArcGIS バージョン 10.5 より地理座標系(緯度経度単位)の DEM であっても、メートル単位の鉛直座標系(例:[EGM2008 Geoid])を定義することで、水文解析ができるようになりました。
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(標高値を持つデータ:長野県 松本市 安曇地区(島々) 付近)
フローチャート
ArcGIS で水文解析を行うには以下のフローチャートで行います。
- フローチャート図
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標高値を持つラスターデータの凹地(窪地)の除去処理を行います。
・ArcToolbox → [Spatial Analyst] ツール → [水文解析] → [サーフェスの平滑化 (Fill)] ツール
※[入力サーフェスラスター ] に標高値を持つラスターデータを設定します。
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流向を算出します。(各ピクセルの値より傾斜方向を計算します。)
・ArcToolbox → [Spatial Analyst] ツール → [水文解析] → [流向ラスターの作成 (Flow Direction)] ツール
※[入力サーフェスラスター] に凹地の除去処理をした標高値を持つラスターデータを設定します。
(算出された結果のピクセル値はそれぞれの方位を意味します。)
1 東 、2 南東 、4 南 、8 南西 、16 西 、32 北西 、64 北 、128 北東
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累積流量を算出します。(流向ラスターの下り勾配にあたる全ピクセル値より累積流量を計算します。)
・ArcToolbox → [Spatial Analyst] ツール → [水文解析] → [累積流量ラスターの作成 (Flow Accumulation)] ツール
※[入力流向ラスター] に流向のラスターデータを設定します。
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河川網を作成します。
・ArcToolbox → [Spatial Analyst] ツール → [水文解析] → [河川次数ラスターの作成 (Stream Order)] ツール
※[入力河川ラスター] に累積流量のラスターデータ を、[入力流向ラスター] に流向のラスターデータを設定します。
(河川が合流するにつれて次数の値が大きくなります。)
(参考)河川網をフィーチャに変換できます。
・ArcToolbox → [Spatial Analyst] ツール → [水文解析] → [河川ラスターをフィーチャに変換 (Stream to Feature)] ツール
※[入力河川ラスター] に河川次数ラスターデータを、[入力流向ラスター] に流向のラスターデータを設定します。
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水系(流域界)を算出します。
・ArcToolbox → [Spatial Analyst] ツール → [水文解析] → [流域ラスターの作成 (Basin)] ツール
※[入力流向ラスター] に流向のラスターデータを設定します。
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ある地点から上流域の水系(流域界)を算出します。
・ArcToolbox → [Spatial Analyst] ツール → [水文解析] → [集水域ラスタの作成 (Watershed)] ツール
※[入力流向ラスター] に流向のラスターデータを設定します。
[流出点データとして使用する入力ラスタ、またはフィーチャ] にポイントデータ(※)などを設定します。
※ポイントデータの作成方法は こちらをご参照ください。 -
流動距離を算出します。
・ArcToolbox → [Spatial Analyst] ツール → [水文解析] → [流動距離ラスターの作成 (Flow Distance)] ツール
※[入力河川ラスター] に累積流量ラスターデータを、[入力サーフェス ラスター] に凹地の除去処理をしたラスターデータを設定します。
参考情報
水文解析の詳細につきましては米国 Esri 社が公開している ヘルプをご参照ください。
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(標高値を持つデータ:長野県 松本市 安曇地区(島々) 付近)
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