FAQ 質問:ArcMap のシンボル描画パフォーマンスをどのように改善、維持することができますか?

ナレッジ番号:1675 | 登録日:2023/05/29 | 更新日:2023/08/31

 

シンボルの適切な描画パフォーマンスのレベルは、さまざまなシンボルの描画時間を比較検討することによって維持することができます。シンボルの描画時間は、ArcMap アプリケーションの更新回数の他、マップのエクスポートや、ArcGIS Server 、ArcIMS ArcMap Server によって生成されるイメージのレンダリングにも大きな影響を及ぼします。

ここでは、特に大きなデータセットを用いる場合において、描画パフォーマンスを適切な レベルで維持することができるシンボルを作成することを検討します。複雑なマルチ レイヤ シンボルは、マップの描画やエクスポート、サーバ イメージ レンダリングのパフォーマンスに多大な影響を及ぼします。これは、ピクチャやグラデーションで構成されるような特定のタイプのシンボルに特に言えることです。塗りつぶしシンボルのアウトライン、複雑なカートグラフィック ライン、ハッシュ シンボル、マーカー ラインなどを組み合わせて使用することは再描画に多大な影響を与え、何度も更新処理が実行されます。

以下の情報は、マーカー、ライン、塗りつぶしという3つの主要なシンボル カテゴリについて、それぞれがレイヤとして追加されたとき、また設定が変更されたときに描画にかかる時間を示しています。

マーカー シンボル

マーカー シンボルは、ポイントのシンボル表示に使用するか、他のシンボル タイプの要素として使用するかにかかわらず、適切な描画パフォーマンスを維持するために使用できるもっとも簡単なシンボル タイプです。ポイント フィーチャ データセットの描画時間の短縮という点では、マスク(ハロー)の追加は、描画パフォーマンス低下の最大の要因となります。

マーカーシンボルに続いて、Bitmap ベースのピクチャ マーカー シンボルがあります。次のグラフは、データ ビューに26,400 個のポイント フィーチャを含むシェープファイルが表示されているシングル レイヤ ドキュメントの描画時間(秒単位)を表しています。

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上のグラフでは、ポイント シンボルにマスクを追加することで、レイヤの表示にかかる時間が 22,000 %も増大していることがわかります。データ、データの格納場所、コンピュータの処理速度などによっては、ディスプレイの更新毎に単一のポイント フィーチャ データセットを描画するために数分を要する可能性があります。

マスクまたはハローを絵文字マーカーやシンプル マーカーに追加する代わりとなる良い方法は、シンボルを表す.emf ファイルを作成し、.emf ファイルの内容を表示するピクチャ マーカー シンボルを使用することです。

ライン シンボル

ライン シンボルは、マップに必要な詳細なカートグラフィック品質を実現する反面、十分な描画パフォーマンスを維持することに関しては問題を含んでいます。線形フィーチャの描画にシンプル ライン シンボルを使用することは、描画時間を短縮するための最も簡単な方法です。ただし、シンボルに対する設定が幅と色以外にほとんどありません。

カートグラフィック ラインは最もよく使用されるライン シンボルであり、追加する設定の数が増えるにつれパフォーマンスが低下します。次のグラフでは、この影響について表すとともに、線形フィーチャの描画時間を遅くさせるいくつかの共通設定を示しています。このグラフは、シングル マップ レイヤとして描かれる 106,400 個のライン フィーチャからなるシェープファイルのケースを示しています。

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たとえば、ダッシュ ライン(破線)を生成するパターン テンプレートを追加すると、単色(実線)のカートグラフィック ライン シンボルと比べて描画時間は2倍以上になる可能性があります。8ポイントのオフセット値を追加すると、レイヤの更新時間はさらに倍、線幅を5ポイントに増大させると、さらに2倍以上の描画時間がかかります。ライン シンボルに関しては、設定が少ないほど描画時間は短くなります。

ライン シンボルに限らず、他のタイプのシンボルにも同様に言えることですが、もう一つの重要な点は、シンボル タイプを組み合わせてマルチ レイヤ シンボルを作成した場合も、パフォーマンスが低下することです。これは、各レイヤ タイプごとにデータセットのレンダリングを実行しなければならないためです。たとえば、基本的な鉄道スタイルのライン シンボルで行われるように、カートグラフィックとハッシュ ライン シンボルを組み合わせると、データはカートグラフィック シンボルに対して一度描画され、ハッシュ シンボルに対して再度描画されます。

塗りつぶしシンボル

ポリゴンの適切な描画パフォーマンスを維持する最適な設定の一つは、塗りつぶしシンボルのアウトラインに、可能な限りシンプル ライン シンボルを使用することです。次のグラフが示すように、シンプル塗りつぶしシンボルからカートグラフィック ライン シンボルにアウトラインを変更すると、描画時間は500%増大します。アウトラインが、境界線として実線しか要求していない場合は、シンプル ライン シンボルを使用するべきです。次のグラフは、シングル マップ レイヤとして描画される75,000個のポリゴン フィーチャを含むシェープファイルのケースを示しています。

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.emf ファイルは、絵文字塗りつぶしシンボルを定義する優れたフォーマットです。塗りつぶしシンボルが1色だけのときは、.emf ファイルを使用すると、.bmp 形式のファイルよりパフォーマンスが向上します。一方、シンボルが2色以上の場合は、.bmp 形式のほうがパフォーマンスがよくなります。 

ArcGIS 9.2 でリリースされたESRI_Optimized スタイルとサーバ スタイルは、ラインや塗りつぶしシンボルに対してこれらの多くの提案を取り入れています。デフォルトの ESRI スタイルまたはサーバ スタイルにあるラインや塗りつぶしシンボルへの代替として、このスタイルを使用することを検討してください。


■備考
プラットフォーム         Windows 2000, XP, 2003Server
ESRI Art. Number         33098

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